エクボちゃんたちのママ

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母から教わったこと

私の母は90歳。
生きていてくれたらの年齢。

母は一人っ子で、私の長姉からの話によると、とても甘やかされて育ったはずだと。

その一人っ子は、自分が寂しかったからと、私たち6人の子供を育てた。

貧乏暇なし。
よく働いた人だと思う。

私は小さいときからの記憶を辿ると、母が家でのんびりと寛いでいる姿を思い出すことが出来ない。

母は、6人もの子供を産み、理想の家族を持てたのだろうか。

常に働き続け、寂しくない家族を味わえたのだろうか。

がむしゃらに母親をして生きてきた母。
私たちもまた、がむしゃらに生かされてきた。

貧乏でも生きていける。

それを教わった?

・・・確かに。

それはそうだが、最近、つくづく思うことがある。

母が、癌で入院したときのこと。

痛みのせいで、何度もナースコールのボタンを押す母。

看護師が足早に部屋に来て
「どうされました?」

痛みを訴える母に、事務的にどんな風に痛むのかを聞いてくる。
「ガンガン?! ズキズキ?! ずっとですか?! 時々ですか?!」

早口で、(早く答えろ)と言わんばかりに。

母は、眉間にシワを寄せ、頭を横にふる。
その母に、確認するかのように、同じ事を繰り返す。

「もう・・・・いいです。」
私の言葉に対して、素直に何もなかったかのように立ち去る看護師。

その後も、母は無意識なのか、何度かナースコールのボタンを押す。

私は、さきほどのやり取りを見たくなくて、入り口まで出て行き、向かってくる看護師に来なくて良いと手をふった。

私は・・・私も、看護師。
この看護師に対して、非常に嫌な感情をもった。
病人をもつ家族からの視線はこうなるのか・・。
自分と重ねてみた。

こんな看護師にはなるなと教えてくれたような気がした。


暫くして、看護師師長がやって来た。

ベッドサイドに膝をつき、痛がる母の手をさすりながら言葉をかける。
眉間のシワが消え、安心したかのように眠る母。
静かに立ち上がり、私に軽く会釈をし、立ち去る師長。

おぉ・・・教科書にでてきた・・・ナイチンゲールだ・・。


こんな人になってほしいと教えてくれたような気がした。

今、私は、病院ではなく、介護施設の中で看護師をしている。

私は、あの時の看護師長と同じくらいの年齢になった。

母が犠牲になってまでも教えてくれたこと。

弱き方々の支えになれるよう生きている。