人殺しの息子と呼ばれて
昼過ぎのコーヒータイム。
ふた昔近く前の事件について取り上げられていた。
ある夫婦が起こした身内への殺人事件。
でも、その番組は、その事件についてを本題としておらず、事件の説明のあと、夫婦の息子の話へと繋がった。
そのいきさつは、さておいて…。
彼の年齢は24歳。
彼が9歳の時に事件が起きている。
後に、両親は逮捕となり、彼は養護施設へと預けられたらしい。
彼自身、両親から、軟禁、虐待されてきたにも関わらず、それを察することも知ることもなかった冷たい社会へと放り込まれたようだ。
9歳にして、初めての小学校。
高学年、親のことで友達との間でトラブルを起こしてしまう。
彼は言う。
周りの人全てが敵にしか見えなかった。
大変だったろうと語る先生に対しても、何がわかるんだと思っていたと。
荒れる彼に対して、「君の為」だと言われたところで、そっとしておいてくれと思っていたと。
孤立している方が心地よかった・・・・と。
私は彼ほどの苦労はしていないし、親が犯罪者という訳ではないが、ぼんやりと、自分と重なるものもあり、涙ながらにそのシーンを見ていた。
私の場合、名字に、ある文字があるがために、〇〇人‼と言われ、石を投げられたり、水をかけられたり、くつを便所に捨てられて学校から裸足で帰ることもあった。少しでも接触しようものなら汚いものがついたかのように「うつる❗うつる❗」と大騒ぎ・・・・。
委員会やクラブ活動、発表会で、一緒にしてくれる人もなく、遠足もいつも一人ぼっち。
卒業アルバム用の写真で、たまたま写っていても、自分の回りには誰一人寄りついてなく・・・見たくない。
彼が言う
高学年のその時まで、我慢してきたが、我慢しない方法もあることに気付いた・・・・と。
私も同じ時期、先生が教壇に置いていた(置きっぱなしにしていた)集金袋のお金がなくなったと大騒ぎになり、皆の持ち物検査となったとき、さっさと行動にうつさない私に担任が物凄い形相で「お前か❗」と詰め寄ってきた。
その日から私も彼と同じ意識をもつ。
「我慢することはない」
彼と同じ気持ちをもった。
「私が悪いんじゃない❗」
今、周りからパワフルで、強いイメージしかないらしい私。
実は泣き虫で、常に周りにどう思われているかが気になり胃を痛める。
もし、タイムマシーンがあり、使って良いよと言われたら、迷わず、子供の頃の自分に遇いに行き抱き締めてやりたい。
あなたは悪くない
親も悪くない
友達も悪くない
悪いのは廻りの愚かな大人たち
あなたはそんな大人にならないように、今は、勉強しているだけ。
残念なことに、大きな大人になるまでは続いてしまうかもしれないけど、しっかり勉強したらば、卒業出来るよ。
大切な家族もできる。
愛というものにも恵まれる。
苦労したぶんだけ幸せがくるに決まってる。
だから、正しい生き方を学びなさい。
廻りから、正しいと間違いを学びなさい。
これは、彼にも伝えたい。