エクボちゃんたちのママ

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40年前の初恋

中学を卒業し、小さな病院に就職した女の子がお向かいの会社の男性に恋をした。

それまでに、何度か片想いと妄想を繰り返してきた少女は・・・・アタックすることすら考えず、また妄想からスタートした。

その妄想の力は、その会社前を通る少女をドキドキとさせるものになった。

見られているわけではないのに、顔を赤らめ、足早に通りすぎる。

夜になると、病院の屋上にラジオを持ち込み、ラジオを聞きながら、少しでも彼を見ることが出来ないかと期待する。

まるで・・・・ストーカー(笑)

彼の会社の誰にでも元気よく明るく面白く挨拶が出来るのに、彼には会釈さえ出来ない。

困った子。

そんな状況から、彼の会社の人からの働きかけで…話が出来るようになり、付き合うことになった。

初々しい16歳。

初めて手を繋いだのは、お化け屋敷。
今でも感触を思い出せる程、ドキドキする。

それから・・・・・・・・・・・・別れ・・・・・・・・。

勤務中に、会社に彼が挨拶に来ていることを知った。

早く、早く仕事が終わって!
何度も何度も時計を睨む。
仕事が終わり、彼の会社の人からきいた…

「あいつは田舎に帰ったぞ」

「まだ…まだいるかもしれない」

走って走って走って…彼のアパートへ。


あれ?
ついて行かなかったの?
もう、行っちゃったよ?

隣のおばちゃんの驚いた口調。

泣きじゃくりながら歩く、帰りの道のりが長く長く長―――く感じた。


40年たった。
私の記憶のままの彼は、今でもそのままで、私は更けたのに、彼は20代のまんま…。

どうしてる?
私は、白髪染めしなきゃ、真っ白になるんだよ。

孫はいるの?
貴方に似てる?
その子にあったら・・・・・私は恋をしてしまうかも。